社団法人 電子情報通信学会
THE INSTITUTE OF ELECTRONICS,
INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS

信学技報                              
TECHNICAL REPORT OF IEICE.
FACE99-1(1999-4)                

 

 

[HOME]

[INDEX]

 

スパムメールをめぐる米国及び日本における法的規制


岡 村 久 道

 

6 米国におけるスパム対策立法

 米国では、スパムに対する抜本的な対策として、立法による規制が進められている。まず、合衆国法案として従来から3法案が議会に提出されてきたが、1998年5月12日、「スレミング禁止法改正法案(Anti-slamming Amendments Act)[S.1618]」の一部に組み込まれて上院を通過し、その後は下院で審議されている。

 次に、州法のレベルでは既に制定されたり施行されているものもある。

 第1に、ネバダ州の「1997年電子メール法」が、1997年7月1日に制定され、1998年7月1日に施行されている *7。第2に、ワシントン州でも、反スパム法が1998年3月25日に制定され、同年6月11日に施行された *8。これ以外にも、カリフォルニア州、コロラド州、メリーランド州で、スパムを規制する法律が制定されている。

 これらの州法の多くは、送信元に関する詐称の禁止などを内容としているが、ワシントン州法の場合、違反して送信され又は送信されるであろうと合理的に信ずることのできる商業電子メール・メッセージについて、ISPは自己のサービスを介しての受信又は送信をブロックすることができ、ブロックしたことについては、如何なる訴訟においても責任を負わないことを明記している点が特徴的である。どちらにせよ、これらの州法は、スパムを全面的に禁止するものではないので、従来はスパムの送信を差し控えてきた流通業者達が、今後は次第にスパムの発信を開始することになり、かえって事態が悪化するという危惧も表明されている。

 

   

(C) copyright 電子情報通信学会, 1999, All rights reserved.