わが国の著作権法改正(1)− 「公衆送信権」(23条)創設
前述のとおり、日本では、1997年6月に、WIPO条約の批准に向け改正。1998年1月1日から施行。
わが国では、既に1986年の改正により、プログラムの著作権による保護を明文化し、また、世界に先駆けて、リクエストを受けて行う送信に係る「有線送信権」を創設していた。しかし、この権利は法文の字句どおり「有線」に限られているのに対し、WIPO著作権条約では「無線」についても保護対象とされている。また、わが国の「有線送信権」では、対象行為が「送信行為」自体に限定されていたのに対し、この条約では送信行為の前段階である「公衆に提示される状態に置くこと」を含めて、より広く保護の対象とされている。
そこで、この条約に基づき、「無線」及び「公衆に提示される状態に置くこと」についても保護対象としたのが、今回の法改正で設けられた「公衆送信権」(23条)である。