岡村 久道
      

1 はじめに

2 個人情報と電子ネットワーク

3 不正流出事件の続発

4 1970年代の個人情報保護法

5 OECDプライバシー・ガイドライン

6 欧州の対応

7 米国の動向

8 わが国の対応

9 わが国の民間部門における個人情報保護制度の内容

 

 

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 米国の動向

 

 米国における個人情報保護法制は、1974年プライバシー法に起源を発している。

 しかし、この法律は政府部門だけを対象としており、民間部門については適用対象外であった。この法律によると、政府部門は、原則として個人情報を当該個人の承諾を得ることなく開示することが禁止されている。

 次に、1978年の財産プライバシーについての連邦の権利に関する法律(Federal Right to Financial Privacy Act)は、連邦政府に対し金融機関が顧客情報を開示することを規制している。

 1997年6月10日から、FTC(連邦取引委員会)が、インターネット上のプライバシー保護に関する公聴会を開いている。FTCは、自らのウェブに "How To Protect Your Privacy"(http://www.ftc.gov/privacy/)というページを開設している。

 また、コンピュータ業界団体のTRUSTe(http://www.truste.org/)は、"Trustmarks"というマークを使った個人情報保護活動を行っている。

 米国では、数十に及ぶプライバシー保護法案が提出されているが成立に至らない状態であり、前記のとおり、アル・ゴア副大統領は、1998年5月14日、オンラインで個人を守るための「電子的権利章典」の制定を求める旨の声明を公表していた(http://www.news.com/News
/Item/0,4,22289,00.html?feed.cnetbriefs
)。

 インターネットネットの仕様標準化団体であるW3Cは、プライバシー保護のためにP3P(Platform for Privacy Preferences)Projectを推進しているが、ゴア声明の直後である1998年5月19日、プライバシー・システムのワーキングドラフト(http://www.w3.org/TR/1998
/WD-P3P10-syntax-19980519.html
)を公表した。

 このドラフトは、ウェブを訪問する者のブラウザに、当該サイトのデータ収集とプライバシーに関するプラクティスが表示され、そして訪問者がブラウザにセットした内容に基づき、サイトが自動的にユーザー個人の選択を登録するというものである。

 このドラフトは、ゴア副大統領の支持を得ているものと伝えられているが、他方で、電子プライバシー情報センターの Marc Rotenberg氏は、P3Pは、個人情報伝達を諦めない人をウェブサイトが閉め出すことを非常に容易にするものであって、正当なアプローチとは思えない、プライバシー保護のための最良の技術は、個人情報について収集を制限したり排除する技術であると述べ、このドラフトに反対している(http://www.news.com/News/Item
/0,4,22289,00.html?feed.cnetbriefs
 日本語訳はhttp://cnet.sphere.ne.jp/News
/1998/Item/980520-5.html
)。この電子プライバシー情報センター (Electronic Privacy Information Center)は、EPIC の通称で呼ばれている(http://www.epic.org/)。

 


 

   

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